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特集 器官の発生と再生の基礎
イモリ心臓再生機構の解明を目指した遺伝子機能の研究モデル確立
著者: 林利憲1 竹内隆1
所属機関: 1鳥取大学医学部 生命科学科 生体情報学分野
ページ範囲:P.255 - P.258
文献購入ページに移動再生医療の主な研究対象はヒトや動物の培養細胞(iPS細胞を含む)か哺乳類の個体である。これに対して,われわれは同じ脊椎動物でありながら大規模な再生が可能なイモリの機構を解明して,それを(部分的にでも)ヒトやマウスの再生に利用することを考えた。
両生類のイモリは様々な部位を再生できる1,2)(図1)。しかも強力な再生能を個体の一生にわたり維持している。このようなイモリの再生研究は,遺伝子レベルでは進展してこなかった。その理由は,これまで使われてきた日本産アカハライモリや北米産ブチイモリが研究室で大量繁殖できないことにある。例えばアカハライモリは成熟に3年以上かかるうえ,産卵数もわずかである(図2A)。このため,基本的に各国で現地採集されたイモリが用いられてきた。これでは研究用イモリを共通化することは難しい。さらに,イモリを含む両生類は世界中で野生個体数が減少しており,安定な供給源を野外採集に期待できない。そもそも有用な遺伝子導入個体を作製した際には,それらを繁殖,系統化して使用する必要がある。
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