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特集 古典的代謝経路の新しい側面
代謝とエピジェネティクス
著者: 束田裕一1
所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所 感染ネットワーク研究センター 分子免疫学分野
ページ範囲:P.349 - P.356
文献購入ページに移動 エピジェネティクス(epigenetics)という用語は,歴史的に遺伝学の原理では説明できない事象を言及することに用いられてきた1)。現在でもエピジェネティクスの定義は十分に定まっているとは言い難いが,近年では“DNA配列の変化を伴わず,染色体の変化によって安定に継承される表現型を決定するメカニズムおよび現象の総体”として言及されるようになった1,2)。エピジェネティクスの分子メカニズムにはクロマチンの化学修飾,リモデリング,ヒストンバリアント,ノンコーディングRNAによるクロマチンの構造修飾・高次構造変換が含まれる。クロマチンは真核生物においてDNAを核内にコンパクトに収納する構造物で,DNA・ヒストン・非ヒストンタンパク質により構成され,ヌクレオソームと呼ばれる構造が繰り返されている。ヌクレオソームは4種のコアヒストン(ヒストンH2A,H2B,H3,H4)それぞれ二つから成るヒストン八量体の周りに147bpのDNAが巻き付いた構造物であり,クロマチンの基本単位となっている。クロマチンの化学修飾には,DNAのメチル化やヒストンの翻訳後修飾が含まれ,修飾を付加または除去するクロマチン修飾酵素により制御されている。興味深いことに,クロマチン修飾酵素の多くが基質や補因子に細胞の代謝産物を用いており,代謝とエピジェネティクスの関連が示唆されている3-5)。本稿では代謝酵素やその代謝産物とクロマチン化学修飾制御の関連について,現在までに明らかにされた知見を紹介する。
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