文献詳細
特集 古典的代謝経路の新しい側面
臓器間ネットワークによる糖・エネルギー代謝調節機構
著者: 山田哲也1 片桐秀樹1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科 糖尿病代謝内科学分野
ページ範囲:P.357 - P.363
文献概要
臓器間神経ネットワークの統御中枢である脳は,個体レベルの糖・エネルギー代謝を制御するために,末梢の各臓器・組織で生じる代謝の変化を感知,統合し適切な出力に変換している。レプチンの発見は,このような脳が統御する臓器間神経ネットワークの理解を進展させる端緒となった。レプチンは主に白色脂肪細胞から分泌され血流を介して視床下部に作用し,摂食抑制や交感神経系活性化によるエネルギー消費増加(褐色脂肪組織での熱産生亢進)などをもたらすアディポサイトカインである。これらの作用は視床下部の弓状核のNPY/AGRPニューロンやPOMCニューロンに存在するレプチン受容体を介して,メラノコルチン系を活性化することで得られる。レプチンの産生は脂肪細胞の中性脂肪の蓄積(=貯蔵エネルギー量)増加に相関して増えるため,長期的なエネルギー代謝の恒常性維持に役立っている。
参考文献
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