文献詳細
増大特集 生命動態システム科学
Ⅰ.定量生物学 1.分子・細胞の計測 1)基本技術
文献概要
■背 景
近年,生命現象を司る動作メカニズムの理解を目標としたシステム生物学的アプローチをとった研究が隆盛を誇っている。生命現象を司る動作メカニズムの理解には,対象とする生命現象にかかわる分子の特定,およびそのダイナミクスを理解する必要がある。一般的にダイナミクスは遺伝子制御,シグナル伝達,代謝など分子間反応として表現され,ダイナミクスの特性の記述には反応方程式が用いられる。反応方程式の記述は,① 分子濃度を記述した常微分方程式,② 分子濃度の空間的分布を記述した偏微分方程式,③ 分子数の揺らぎを考慮した確率モデル,に大別される。これら異なる記述方法は適用する生命現象に依存する。現在,様々な細胞シミュレーション手法が提案されているが,ここ10年間,論文などで最も多く利用されているのが① の常微分方程式を用いた数理モデルのシミュレーションである1)。常微分方程式を用いたシミュレーションでは細胞内の各分子反応を化学反応方程式の形で表し,各分子反応の濃度変化を一つずつ計算し,数値積分を行う(図)。
近年,生命現象を司る動作メカニズムの理解を目標としたシステム生物学的アプローチをとった研究が隆盛を誇っている。生命現象を司る動作メカニズムの理解には,対象とする生命現象にかかわる分子の特定,およびそのダイナミクスを理解する必要がある。一般的にダイナミクスは遺伝子制御,シグナル伝達,代謝など分子間反応として表現され,ダイナミクスの特性の記述には反応方程式が用いられる。反応方程式の記述は,① 分子濃度を記述した常微分方程式,② 分子濃度の空間的分布を記述した偏微分方程式,③ 分子数の揺らぎを考慮した確率モデル,に大別される。これら異なる記述方法は適用する生命現象に依存する。現在,様々な細胞シミュレーション手法が提案されているが,ここ10年間,論文などで最も多く利用されているのが① の常微分方程式を用いた数理モデルのシミュレーションである1)。常微分方程式を用いたシミュレーションでは細胞内の各分子反応を化学反応方程式の形で表し,各分子反応の濃度変化を一つずつ計算し,数値積分を行う(図)。
参考文献
. 278:2767-2857, 2011
). 1:41-53, 2004
. 4:92, 2010
. 29:1474-1476, 2013
掲載誌情報