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増大特集 生命動態システム科学 Ⅰ.定量生物学 1.分子・細胞の計測 2)1分子計測
(1)Gタンパク質共役型受容体の動的な二量体・単量体平衡:1分子計測法を用いたアプローチ
著者: 笠井倫志1
所属機関: 1京都大学 再生医科学研究所/物質-細胞統合システム拠点(WPI-iCeMS)
ページ範囲:P.392 - P.393
文献購入ページに移動■細胞膜で情報を伝える受容体
おそらく,ほとんどの細胞が共通して持ち合わせている性質の一つは,細胞外の様々な情報を絶え間なく受け取り,細胞内へ伝えていることであろう。多くの場合,実際に細胞外の情報を受け取っているのは,細胞膜に存在している多種多様な受容体分子であるので,その働き方を理解することは,シグナル伝達の仕組みだけでなく,細胞そのものを理解するうえで非常に重要であることは言うまでもない。受容体分子が働いている細胞膜では,シグナル伝達を担う分子同士の結合や解離が必要に応じて巧みに制御されることで,シグナル分子間での情報の変換が行われているはずである。つまり,細胞膜上での情報変換の仕組みは細胞膜上での分子の振る舞いを完全に理解することによって初めて解明可能になると考えられる。実際には一つ一つの分子を観察しながら,受容体やシグナル分子の相互作用を逐一調べることは長い間困難であった。しかし,こうした状況は最近大きく変わってきており,分子同士の相互作用をはじめとした分子の振る舞いを詳しく調べるために,蛍光1分子観察法が極めて有効な手法の一つであることがわかってきつつある1)。
おそらく,ほとんどの細胞が共通して持ち合わせている性質の一つは,細胞外の様々な情報を絶え間なく受け取り,細胞内へ伝えていることであろう。多くの場合,実際に細胞外の情報を受け取っているのは,細胞膜に存在している多種多様な受容体分子であるので,その働き方を理解することは,シグナル伝達の仕組みだけでなく,細胞そのものを理解するうえで非常に重要であることは言うまでもない。受容体分子が働いている細胞膜では,シグナル伝達を担う分子同士の結合や解離が必要に応じて巧みに制御されることで,シグナル分子間での情報の変換が行われているはずである。つまり,細胞膜上での情報変換の仕組みは細胞膜上での分子の振る舞いを完全に理解することによって初めて解明可能になると考えられる。実際には一つ一つの分子を観察しながら,受容体やシグナル分子の相互作用を逐一調べることは長い間困難であった。しかし,こうした状況は最近大きく変わってきており,分子同士の相互作用をはじめとした分子の振る舞いを詳しく調べるために,蛍光1分子観察法が極めて有効な手法の一つであることがわかってきつつある1)。
参考文献
. 192:463-480, 2011
. 107:2693-2698, 2010
. 110:743-748, 2013
. 8:774-783, 2012
. 110:5034-5039, 2013
掲載誌情報