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文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻5号

2014年10月発行

増大特集 生命動態システム科学

Ⅰ.定量生物学 1.分子・細胞の計測 3)分子機能計測

(1)ATPバイオセンサーを使って見えてきたこと

著者: 今村博臣1

所属機関: 1京都大学白眉センター 生命科学研究科

ページ範囲:P.398 - P.399

文献概要

■細胞のエネルギー通貨ATP

 細胞の維持・増殖のためには外部からのエネルギーの取り込みが欠かせない。動物細胞の場合は糖や脂質など様々な物質の持つエネルギーを利用している。それらに含まれるエネルギーの多くは,いったんアデノシン三リン酸(ATP)のリン酸エステル結合の形に変換され,その後に細胞の様々な場所で様々な目的に利用される。エネルギーの流れがいったんATPに集約されることで,エネルギー源が多様であってもスムーズなエネルギー利用が可能となっている。経済における通貨と役割が似ていることから,ATPはしばしば“細胞のエネルギー通貨”と呼ばれている。

 しかし,強く負に帯電して生体膜を自由に通過できないATPが,どのような仕組みでオルガネラ内に運ばれているかは,一部のオルガネラを除き不明である。また,相互作用するタンパク質が多いために拡散が制限されていると考えられるATPが,必要なときに必要な場所にどのようにして供給されているかも不明な点が多い。そして,環境の変化や細胞そのものの状態の変化に応じた細胞内ATP濃度変化の時間スケールや振れ幅についても,信頼できる知見は決して多くはない。

参考文献

. 106:15651-15656, 2009
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. 85:7889-7896, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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