文献詳細
増大特集 生命動態システム科学
Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 1)神経
文献概要
■はじめに
可視光よりも組織浸透性の高い近赤外超短パルスレーザーを光源に用いる二光子レーザー顕微鏡は1990年代に神経科学に導入され,特に光散乱性の高い生きた動物の脳組織における神経細胞のイメージングに威力を発揮した。以来,現代の神経科学においても神経回路の構造と機能を研究するための強力なツールとなっている。このような二光子イメージングに代表されるin vivo イメージング技術の進歩は,脳表から数百μm程度の深さで観察のしやすい大脳皮質の神経回路について多くの新たな知見をもたらしたが,皮質下に存在する深部脳部位のin vivo イメージングによる解析は,情動や本能,生体恒常性などの脳機能におけるそれらの部位の重要性にもかかわらず,技術的困難のためにほとんど手がつけられていない。このことは,もし深部脳をイメージングする技術が一般に広まれば,これらの部位のイメージング研究が観察部位の深さという制限から解放されて爆発的に進歩する可能性があることを意味している。このような現状を背景として,本稿では,① イメージングウインドウの埋め込み,② 光ファイバーまたはマイクロGRINレンズを用いた内視鏡,③ 長波長光源の利用,という深部脳イメージングの主な三つの手法について概説する(図)。
可視光よりも組織浸透性の高い近赤外超短パルスレーザーを光源に用いる二光子レーザー顕微鏡は1990年代に神経科学に導入され,特に光散乱性の高い生きた動物の脳組織における神経細胞のイメージングに威力を発揮した。以来,現代の神経科学においても神経回路の構造と機能を研究するための強力なツールとなっている。このような二光子イメージングに代表される
参考文献
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掲載誌情報