文献詳細
文献概要
増大特集 生命動態システム科学 Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 1)神経
(3)心の生物学:社会知性の脳計算—実験と数理の融合脳科学
著者: 中原裕之1
所属機関: 1理化学研究所 脳科学総合研究センター 理論統合脳科学研究チーム
ページ範囲:P.420 - P.421
文献購入ページに移動■はじめに
われわれの日常生活の大半は何らかの社会行動である。つまり,“ヒトである”ことの多くはその社会性にあると言える。人々が互いの心や振る舞いを推断するときに働かせる社会知性は,脳の産物である。より精緻に述べれば,それは脳(神経回路)の情報処理すなわち脳計算の産物である。ここで,科学者としては次のような疑問が生まれる。社会知性の脳機能解明,あるいは心の生物学はあり得るのだろうか。脳の生物学的実体に即しながら社会知性を理解することは可能なのだろうか。その脳計算の理解はどうか。筆者はこういったことを社会的意思決定の研究を通じてその探究を進めている。なお本稿はテクニカルレポート1)の簡約版であることを付記する。
われわれの日常生活の大半は何らかの社会行動である。つまり,“ヒトである”ことの多くはその社会性にあると言える。人々が互いの心や振る舞いを推断するときに働かせる社会知性は,脳の産物である。より精緻に述べれば,それは脳(神経回路)の情報処理すなわち脳計算の産物である。ここで,科学者としては次のような疑問が生まれる。社会知性の脳機能解明,あるいは心の生物学はあり得るのだろうか。脳の生物学的実体に即しながら社会知性を理解することは可能なのだろうか。その脳計算の理解はどうか。筆者はこういったことを社会的意思決定の研究を通じてその探究を進めている。なお本稿はテクニカルレポート1)の簡約版であることを付記する。
参考文献
1)中原裕之:BSI ITN Technical Report No. 14-02
2)中原裕之:生体の科学.64:323-328,2013
. 25:123-129, 2014
. 74:1125-1137, 2012
5)中原裕之,鈴木真介:BRAIN and NERVE. 65:973-982, 2013
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