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文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻5号

2014年10月発行

増大特集 生命動態システム科学

Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 2)発生

(2)動物胚の相似性維持

著者: 猪股秀彦1

所属機関: 1理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 体軸動態研究チーム

ページ範囲:P.424 - P.425

文献概要

■生物固有の比率

 地球は多種多様な“形”の生物で満ちあふれている。このような形状の多様性は,個々の種を特徴づける最も基本的な要素の一つである。しかし,一見,多様に見える“形”も実は多くの共通する基本構造からできている。例えば,哺乳類の大部分は頭部・手足・胴体からできている。形の多様性は,この基本構造の比率を変えることによって作り出されている可能性がある1)。ウマの首の比率を長くすればキリンのような形にすることができる。生物は固有の比率を維持することによって個々の“形”を維持しているのかもしれない。

 生物固有の形は,主に受精卵から胚が発生する過程で形造られる。この発生過程においても,生物固有の比率は頑なに維持されている。1975年にCookeはアフリカツメガエルの初期胚を用いて背側と腹側で外科的に半割にした2)。すると背側の半割胚から相似形を維持した半分のサイズの小さなオタマジャクシが誕生したのである。このような胚のサイズによらず相似形を維持する現象をスケーリングと言う。

参考文献

1)Huxley JS:Problem of Relative Growth. Johns Hopkins University Press, 1993(reprint)
. 254:196-199, 1975
. 20:285-308, 2004
. 153:1296-1311, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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