文献詳細
文献概要
増大特集 生命動態システム科学 Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 3)血管系
(1)血管新生の細胞動態解析
著者: 栗原裕基1 有馬聡1 西山功一23
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科 代謝生理化学 2熊本大学附属病院 循環器予防医学先端医療寄附講座 3国際先端医学研究拠点施設
ページ範囲:P.428 - P.429
文献購入ページに移動内膜・中膜・外膜の3層構造から成る血管の構成細胞のうち,内膜を構成する内皮細胞が最初にネットワークを形成することで血管ができる。“血管新生(angiogenesis)”とは既存の血管から内皮細胞の発芽または嵌入によって血管が伸長していく過程を指し,未分化細胞から内皮細胞が分化して新たな血管が生じる脈管形成(vasculogenesis)と区別される。血管新生の主たる誘因は,組織の酸素需要が供給を上回ることによって生じる低酸素状態である。細胞内の低酸素感知機構によってHIF1(hypoxia inducible factor 1)と呼ばれるタンパク質が細胞質内で増加して核へと移行し,血管新生の主要なメディエーターである血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial cell growth factor;VEGF)などの遺伝子発現を誘導する。VEGFは細胞外に分泌され,他の多くの因子と共に血管内皮細胞を活性化し,増殖や遊走を促進することで血管新生が進行する。
参考文献
掲載誌情報