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増大特集 生命動態システム科学 Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 4)時計
(1)哺乳類生物時計—視交叉上核を中心として
著者: 榎木亮介12
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科 光バイオイメージング部門 2JSTさきがけ
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動生物時計は地球の環境変化に適応するために獲得した機能であり,バクテリアからヒトに至るほとんどの生物に認められる。生物は生命進化の過程で約24時間周期の概日時計を自身の体内に組み込み,概日時計を利用して生理機能を時間的に調節し,適切な位相で生理機能効率を高めるなど様々な形で自身の生存戦略を有利にしていると考えられる。
様々な動植物において,概日時計機能を果たすための共通する特性として,① 約24時間の“自律振動性”を持つこと,② 温度による変化を受けない“温度補償性”を持つこと,③ 光などの環境変化に対して“同調”すること,が挙げられる。これらの三つの特性は概日時計研究の重要な問題として捉えられ,分子から個体に至る様々な階層においてそのメカニズムの探求が行われてきた。その過程において様々な生物種での中枢時計の探求が行われ,近年では分子生物学の発達により,リズム発振の分子メカニズムの解明が急速に進んでいる。
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