icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻5号

2014年10月発行

文献概要

増大特集 生命動態システム科学 Ⅰ.定量生物学 2.組織・個体の計測 4)時計

(2)植物時計

著者: 遠藤求1

所属機関: 1京都大学大学院 生命科学研究科 分子代謝制御学

ページ範囲:P.434 - P.435

文献購入ページに移動
■概日時計のシステム構造

 全く異なる生き方を選んだ動物と植物であるが,どちらの生物も概日時計システムを持っている。しかし,生活様式の違いを反映し,そのシステム構造は大きく異なっていると考えられる。動物(哺乳類)の概日時計システムは脳の視交叉上核(SCN)に存在する強大な時計が末梢臓器などに存在する時計を支配している集中型(centralized)である(図)。一方で,植物には明確な中枢が認められないことから,少なくとも動物のような集中型ではないと漠然と考えられてきた。その他のシステム構造として,階層構造が存在する非集中型(decentralized)と階層構造が存在しない分散型(distributed)の二つのシステムが考えられるが1),植物の概日時計システムがこのどちらに相当するかは明らかにされていない。しかし,各細胞・組織が持つ概日時計がどのようにネットワークを形成し,個体として時間を測定しているかを明らかにすることは,生命動態を予測するための重要な基盤であり,植物における概日時計のシステム構造の解明は避けて通れない問題である。

参考文献

. 128:3908-3909, 2006
. 17:1941-1952, 2005
. 502:689-692, 2013
. 583:1039-1044, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら