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文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻5号

2014年10月発行

文献概要

増大特集 生命動態システム科学 Ⅱ.数理生物学 5.細胞

(3)細胞運動のシステム同定

著者: 本田直樹1 山尾将隆2 石井信2

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科 生命動態システム科学拠点事業 時空間情報イメージング拠点 2京都大学大学院 情報学研究科

ページ範囲:P.468 - P.469

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■細胞運動のシグナル伝達

 細胞運動は,創傷治癒や胚発生,がん転移などの様々な生命機能を支えるうえで重要な役割を果たしている。細胞膜下に存在するアクチンフィラメントは,細胞の形態を支えると同時に,重合・脱重合・分岐などにより形態変化を駆動する。このような細胞骨格系の再編成は,Cdc42やRac1といったRhoファミリーGタンパク質によって制御されている。一般的にはCdc42が糸状仮足形成を,Rac1が葉状仮足形成を誘導するとされる1)。また,それら分子の下流タンパク質は詳しく同定されており,細胞内シグナル伝達を生化学的な素反応の集合として記述できるようになっている。一方で,蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer;FRET)を利用したバイオセンサーにより,RhoファミリーGタンパク質の時空間的な分子活性イメージングが可能になっている2)

 このように分子パスウェイの同定や分子活性動態の可視化は進んでいるものの,「どのようにRhoファミリーGタンパク質の分子シグナルが“情報”として“処理”され,細胞形態変化まで“時空間的に伝達”されるのか」といった細胞運動の情報基盤は全くわかっていない。本稿では,細胞内情報処理の様式を同定するための解析手法を紹介する。

参考文献

. 81:53-62, 1995
. 162:223-232, 2003
. 108:12675-12680, 2011
. 125:2381-2392, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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