文献詳細
文献概要
増大特集 生命動態システム科学 Ⅲ.合成生物学 1.人工細胞
(3)バクテリア再構成に向けた大腸菌とマイクロデバイスの融合
著者: 田端和仁1
所属機関: 1東京大学大学院工学系研究科 応用化学専攻
ページ範囲:P.496 - P.497
文献購入ページに移動■バクテリアの再構成
バクテリアは最も単純な生物である。教科書的にも細胞壁と細胞膜,細胞質と単純に書かれている。乱暴なことを言えば,バクテリアをつぶした懸濁液を用意して,脂質二重膜で包んでしまえば,生物として機能するのではないかと考えてしまう。とは言え,この懸濁液をリポソームに入れても,そこからバクテリアが再生することはない。すべての要素があるにもかかわらず,バクテリアとして再生しないのはなぜか? 懸濁液からは生きていたバクテリアと比べて,二つの状態が失われていると考えた。一つはタンパク質濃度の状態である。元々の細胞質タンパク質濃度は非常に高濃度である。破砕するとその濃度は10倍から1,000倍程度まで低下してしまう。もう一つは細胞膜の状態である。破砕液中には細胞膜と膜タンパク質は存在するが,元のようには機能しない。このように,二つの状態が失われているため,元のバクテリアには戻れないのではないかと考えた。
バクテリアは最も単純な生物である。教科書的にも細胞壁と細胞膜,細胞質と単純に書かれている。乱暴なことを言えば,バクテリアをつぶした懸濁液を用意して,脂質二重膜で包んでしまえば,生物として機能するのではないかと考えてしまう。とは言え,この懸濁液をリポソームに入れても,そこからバクテリアが再生することはない。すべての要素があるにもかかわらず,バクテリアとして再生しないのはなぜか? 懸濁液からは生きていたバクテリアと比べて,二つの状態が失われていると考えた。一つはタンパク質濃度の状態である。元々の細胞質タンパク質濃度は非常に高濃度である。破砕するとその濃度は10倍から1,000倍程度まで低下してしまう。もう一つは細胞膜の状態である。破砕液中には細胞膜と膜タンパク質は存在するが,元のようには機能しない。このように,二つの状態が失われているため,元のバクテリアには戻れないのではないかと考えた。
参考文献
. 2013:1314-1316, 2013
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