文献詳細
増大特集 生命動態システム科学
Ⅲ.合成生物学 1.人工細胞
文献概要
■バクテリアの再構成
バクテリアは最も単純な生物である。教科書的にも細胞壁と細胞膜,細胞質と単純に書かれている。乱暴なことを言えば,バクテリアをつぶした懸濁液を用意して,脂質二重膜で包んでしまえば,生物として機能するのではないかと考えてしまう。とは言え,この懸濁液をリポソームに入れても,そこからバクテリアが再生することはない。すべての要素があるにもかかわらず,バクテリアとして再生しないのはなぜか? 懸濁液からは生きていたバクテリアと比べて,二つの状態が失われていると考えた。一つはタンパク質濃度の状態である。元々の細胞質タンパク質濃度は非常に高濃度である。破砕するとその濃度は10倍から1,000倍程度まで低下してしまう。もう一つは細胞膜の状態である。破砕液中には細胞膜と膜タンパク質は存在するが,元のようには機能しない。このように,二つの状態が失われているため,元のバクテリアには戻れないのではないかと考えた。
バクテリアは最も単純な生物である。教科書的にも細胞壁と細胞膜,細胞質と単純に書かれている。乱暴なことを言えば,バクテリアをつぶした懸濁液を用意して,脂質二重膜で包んでしまえば,生物として機能するのではないかと考えてしまう。とは言え,この懸濁液をリポソームに入れても,そこからバクテリアが再生することはない。すべての要素があるにもかかわらず,バクテリアとして再生しないのはなぜか? 懸濁液からは生きていたバクテリアと比べて,二つの状態が失われていると考えた。一つはタンパク質濃度の状態である。元々の細胞質タンパク質濃度は非常に高濃度である。破砕するとその濃度は10倍から1,000倍程度まで低下してしまう。もう一つは細胞膜の状態である。破砕液中には細胞膜と膜タンパク質は存在するが,元のようには機能しない。このように,二つの状態が失われているため,元のバクテリアには戻れないのではないかと考えた。
参考文献
. 2013:1314-1316, 2013
掲載誌情報