文献詳細
増大特集 生命動態システム科学
Ⅲ.合成生物学 1.人工細胞
(4)生命の部分再構成としてのPURE system
著者: 清水義宏1
所属機関: 1理化学研究所 生命システム研究センター 無細胞タンパク質合成研究ユニット
ページ範囲:P.498 - P.499
文献概要
1953年のWatson・CrickらのDNAの二重らせん構造の発見を契機とした分子生物学に関連する技術の急速な進展により,生命の持つ様々な遺伝子の配列情報,タンパク質の構造情報が明らかにされ,また,それら遺伝子やタンパク質を手軽に扱うことが可能となってきている。Schrödingerが“What Is Life?”と記した著書を発表した1944年とは大きく異なり,現在では,われわれは生命とは何かを,分子レベル,原子レベルである程度記述すること,また,そうした記述を基に,生命をある程度操作することもできるようになった。しかしながら,生命は依然複雑であり,その構成要素およびそれらが織りなすネットワーク構造を完全に記述し,生命の挙動の予測や操作に結び付けるためには更なる技術革新と更なる知見を必要としている。
DNAの二重らせん構造の解明が分子生物学の発展の契機となった背景には,DNAという分子に生命を記述し,その挙動を予測,操作するための鍵となる情報が刻み込まれていたためであり,その情報がRNAやタンパク質といった形で機能分子として具現化される過程であるセントラルドグマに記述される過程は,生命の根幹をなす中心的過程であると言える。Venterらは単独で培養可能な生物の中では最小のゲノムを持つ
参考文献
掲載誌情報