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増大特集 生命動態システム科学 Ⅲ.合成生物学 3.摂動技術
(3)タンパク質を創って理解する
著者: 古賀信康1 古賀理恵1
所属機関: 1分子科学研究所 協奏分子システム研究センター 階層分子システム解析研究部門
ページ範囲:P.512 - P.513
文献購入ページに移動生命はタンパク質分子を生命システムにおけるパーツとして巧みに利用し様々な生命現象を生み出している。タンパク質分子はアミノ酸配列に従い,ほどけた紐のような状態から自発的に折り畳まり特異的な三次元立体構造を形成して機能を発現する。1958年に世界で初めてタンパク質分子の立体構造が解かれてから半世紀以上が経ち,2014年現在タンパク質立体構造データベースには10万件以上もの構造が登録されている。しかし,これら自然界のタンパク質分子は何十億年という長い年月をかけて進化した結果であり,それらを解析するのみでは自然が創り上げたタンパク質分子の動作原理の本質に辿りつくことは難しい。そこで,立体構造形成や機能発現に関する様々な仮説を立てながらタンパク質分子をシステマティックに計算機上でデザインし,それらが実際にどのように動作するのか実験により調べるというアプローチが力を発揮する。すなわち,タンパク質分子を実際に創ることにより,立体構造形成および機能発現の原理を探り,望みのタンパク質分子を自在に設計する技術を開発するのである。望みのタンパク質分子を自在にデザインすることが可能になれば,生命現象の理解と制御に大きく役立ち,医療の発展にも貢献するであろう。
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