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文献詳細

雑誌文献

生体の科学65巻6号

2014年12月発行

文献概要

特集 エピジェネティクスの今

ヒストン脱アセチル化酵素の活性を検出する化学プローブの開発

著者: 堀雄一郎123 菊地和也24

所属機関: 1大阪大学大学院工学研究科 生命先端工学専攻 物質生命工学コース 2大阪大学免疫学フロンティア研究センター 3JSTさきがけ 4大阪大学大学院工学研究科

ページ範囲:P.559 - P.564

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 ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase;HDAC)は,タンパク質に存在するアセチルリジンの脱アセチル化を触媒する酵素であり,ヒストンに加え転写因子や代謝関連酵素,構造タンパク質など多岐にわたるタンパク質を標的とし,遺伝子発現をはじめとして代謝や細胞骨格形成などの多様な生命現象において,重要な役割を担っている1)。ヒトのHDACは18種類知られており,配列の相同性などにより四つのクラスに分類されており,その酵素活性は,亜鉛イオンを必要とするものと,NADを共基質とするものが知られている2)。また,HDAC活性の異常は,癌や生活習慣病などの疾患の原因となることから3,4),創薬標的として大きな注目を集めおり,その酵素活性を検出する技術の開発は生命科学だけではなく,医学・創薬の観点から,極めて重要である。

 これまでに,放射線同位体や抗体などを用いた古典的方法が用いられてきたが,これらの手法は制限区域の中での実験や多段階のプロセスを必要としており,簡便さや実用上の問題があった。近年ではペプチドプローブが市販されているが,この手法では検出にプロテアーゼが必要であることが問題であった5)。このため,単純に酵素と混ぜるだけの一段階の操作で簡便に検出できる蛍光プローブの開発が期待されていた。しかしながら,HDAC活性が1969年に発見されて以来,アセチルリジンの脱アセチル化という小さな化学変化を捉えてプローブの蛍光強度が変化するような検出原理は考案されていなかった。本研究ではリジンの酵素反応による化学的変化を精査し,新しい検出原理を考案することで,HDACプローブの開発を遂に達成した。本稿ではプローブ開発の設計戦略の詳細とその評価について記す。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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