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特集 エピジェネティクスの今
関節リウマチとエピジェネティクス
著者: 荒木靖人1
所属機関: 1埼玉医科大学 リウマチ膠原病科/ゲノム医学研究センター・プロジェクト研究部門
ページ範囲:P.601 - P.605
文献購入ページに移動 エピジェネティクスとは,遺伝子配列の変化を伴わずに遺伝子の転写を制御する機構を意味する。主なエピジェネティクス制御機構として,① DNAメチル化,② マイクロRNA(micro RNA;miRNA)をはじめとする非コードRNA(non-coding RNA;ncRNA),③ ヒストン修飾が現在知られている。関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)などの自己免疫性疾患において,エピジェネティクス制御の異常の報告が集積されつつある。
これらの異常を明らかにすることの意義について考えてみると,エピジェネティクス制御には可塑性(plasticity)があるため,エピジェネティクスの異常が是正されれば,遺伝子発現の異常も正常化しうる。このことから,エピジェネティクスの状態の操作による遺伝子発現の制御が疾患の治療に応用できるという可能性がある。エピジェネティクス制御には細胞記憶(伝達性:heritability)という性質もあり,エピジェネティクスの情報は親細胞から娘細胞に細胞分裂の際に受け継がれる。このため,自己免疫疾患などの慢性炎症の場において,細胞の活性化状態の継続にエピジェネティクス機構の関与が推測される。RA滑膜線維芽細胞(synovial fibroblast;SF)では,増殖が亢進し,アポトーシス抵抗性であり,炎症性サイトカイン・ケモカインや基質分解酵素の産生がみられる。RASF活性化の原因としてエピジェネティクス異常があるのではないかと考えられ,これを明らかにすることはRAの病態の解明につながる(図1)。本稿では,RAの病態におけるエピジェネティクス異常について,これまでの知見を自験例も含めて概説する。
これらの異常を明らかにすることの意義について考えてみると,エピジェネティクス制御には可塑性(plasticity)があるため,エピジェネティクスの異常が是正されれば,遺伝子発現の異常も正常化しうる。このことから,エピジェネティクスの状態の操作による遺伝子発現の制御が疾患の治療に応用できるという可能性がある。エピジェネティクス制御には細胞記憶(伝達性:heritability)という性質もあり,エピジェネティクスの情報は親細胞から娘細胞に細胞分裂の際に受け継がれる。このため,自己免疫疾患などの慢性炎症の場において,細胞の活性化状態の継続にエピジェネティクス機構の関与が推測される。RA滑膜線維芽細胞(synovial fibroblast;SF)では,増殖が亢進し,アポトーシス抵抗性であり,炎症性サイトカイン・ケモカインや基質分解酵素の産生がみられる。RASF活性化の原因としてエピジェネティクス異常があるのではないかと考えられ,これを明らかにすることはRAの病態の解明につながる(図1)。本稿では,RAの病態におけるエピジェネティクス異常について,これまでの知見を自験例も含めて概説する。
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