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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻1号

2015年02月発行

文献概要

特集 脳と心の謎はどこまで解けたか

絆,そして浮気の行動神経内分泌学─哺乳動物のペア形成と下垂体後葉ホルモン系

著者: 西森克彦1

所属機関: 1東北大学農学研究科応用生命科学専攻分子細胞科学講座分子生物学研究室

ページ範囲:P.66 - P.71

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 動物の向社会性行動における“絆”行動は,直訳すれば(social) bonding behaviorとなり,ヒトにおいてのbonding behaviorは母子・親子間のinfant-mother relation,夫婦など異性間のペア形成行動(pair bonding),家族や兄弟の家庭への帰属意識,あるいは団体組織や地域,社会などに属するメンバー間で持つ同志的感情,共感性などを含む様々な絆行動が考えられる。しかし,ヒトのこれら高度な絆行動を支える脳神経機構とその回路基盤に関する詳細な神経科学的解析は少なく,モデル動物を用いた侵襲的,解剖・組織化学的,生理学的研究に至ってはほとんどその例をみない。
 一方,母子間のinfant-mother(parents) relationにおけるbonding behaviorは,親から子への養育行動であるparental behaviorあるいはmaternal behaviorと,子から親に対するbonding behaviorに分けて考えることができる。親の子に対する養育行動,なかでも一般的なmaternal behaviorは解析研究のよく進んだ領域である一方,父親による子育て行動,paternal behaviorについては,特に哺乳動物綱において父親が“pair形成と継続的な家族の維持”にかかわる動物種が例外的であることからも,詳細な神経科学的解析はmaternal behavior解析研究に比べて少ない。しかし,マウスにおける父親の子育て行動の誘導に母親からの超音波シグナルが必要であることを示した興味深い報告などもある1)

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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