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特集 使える最新ケミカルバイオロジー C.化合物の標的同定法
生理活性天然物の作用メカニズム
著者: 上田実1
所属機関: 1東北大学大学院理学研究科化学専攻有機化学第一研究室
ページ範囲:P.151 - P.155
文献購入ページに移動 生理活性天然有機化合物に関する化学は,“日本のお家芸”と言われている。わが国の有機化学は天然有機化合物研究にルーツを持ち,植物ホルモンのジベレリン(gibberellin)や,ナトリウムチャネル研究に不可欠のツールとして用いられたフグ毒テトロドトキシン(tetrodotoxin),プロテインキナーゼ阻害剤スタウロスポリン(staurosporine),抗がん剤のほか,微小管脱重合阻害剤として生化学実験にも使用されるタキソール(taxol)など,生命科学研究に重要な地位を占める化合物が数多く発見されてきた(図1)。しかし,多くの生理活性天然物の探索は,培養細胞に対する毒性試験など,細胞レベル,個体レベルでの挙動という反応の観察が容易なアッセイ系を用いて行われるため,その標的分子や作用機構が不明な場合が多い。このように,これまで探索されてきた天然有機化合物の多くは,大きなポテンシャルを持つものの,生命科学研究に使用するには標的分子の解明が不可欠な状況にある。
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