icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻2号

2015年04月発行

文献概要

特集 使える最新ケミカルバイオロジー D.トピックス:細胞内温度計

蛍光性ポリマー温度センサー

著者: 岡部弘基12

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科生体分析化学教室 2独立行政法人科学技術振興機構さきがけ

ページ範囲:P.163 - P.168

文献購入ページに移動
 細胞内部は,細胞小器官を含むあらゆる空間が高度に区画化された複雑な構造をとっており,その中で生体分子は不均一に分布して機能している。この各微小空間における温度,圧力や疎水場などといった物理量は,生体分子の状態や活性に強く影響する。このような細胞内の局所的な環境因子は,生体分子の状態や動態に大きな影響を与えることにより,各々の生体分子間の相互作用を制御している可能性がある。このため,細胞の機能を深く理解するためには,細胞内での生体分子の振る舞いやそれを支配する物理的因子の解明が不可欠である。
 細胞内の微小空間内の分子に最も強い影響を与える環境因子は温度である。温度はあらゆる化学反応を支配する物理量であり,生体分子の動態や活性に与える影響の大きさは言うまでもない。また,温度と生物のかかわりは生物学の古典的テーマである1)。しかし,細胞内の局所空間における温度や,それと細胞機能の関連についてはこれまで一切不明であった。この原因は,細胞内部の温度計測技術がなかったためである。従来の温度測定法であるサーモグラフィや熱電対では細胞内部での測定に不向きであるうえに,極微小空間である細胞内では機能できない。

参考文献

. 36:353-357, 1986
. 75:5926-5935, 2003
. 131:2766-2767, 2009
. 132:121-126, 2007
. 404:652-600, 2000
. 3:750, 2012
. 112:2829-2836, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?