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文献概要
特集 進化と発生からみた生命科学
カメの甲の起源と初期進化
著者: 平沢達矢1
所属機関: 1理化学研究所倉谷形態進化研究室
ページ範囲:P.240 - P.245
文献購入ページに移動 脊椎動物進化に対するこれまでの進化発生学研究の多くは,化石記録にみられる進化的変遷について,発生学者がその背後にある発生学基盤の変化を解明していくものであった。つまり,問題提起は古生物学でなされ,その解決をするのはもっぱら発生学的アプローチであったと言えるであろう。進化発生学は,一見,古生物学と最近の発生学の間にまたがる複合領域のようにみえるが,実際のところは両領域間のアイデアの流れはほとんど“一方通行”であったのではないかと,学位取得まで古生物学が専門であった筆者には思える。
では,これからの進化発生学で,古生物学と発生学から双方向的にアイデアを得るような研究は出てくるのであろうか? 筆者には古生物学から発生学へと研究手法を拡張してきた経緯があり,まさにそのあたりを狙う研究について幾つか構想を練ってきたが,今回はそのような戦略からカメの甲の謎を探る試みを紹介したい。カメの甲の骨格(図1)は背甲骨格と腹甲骨格から成り,それらは共に体の表層にあって内臓や筋を覆っている。このような他の現生脊椎動物とはかけ離れた形態が,どのように進化してきたのかという難問への挑戦である。
では,これからの進化発生学で,古生物学と発生学から双方向的にアイデアを得るような研究は出てくるのであろうか? 筆者には古生物学から発生学へと研究手法を拡張してきた経緯があり,まさにそのあたりを狙う研究について幾つか構想を練ってきたが,今回はそのような戦略からカメの甲の謎を探る試みを紹介したい。カメの甲の骨格(図1)は背甲骨格と腹甲骨格から成り,それらは共に体の表層にあって内臓や筋を覆っている。このような他の現生脊椎動物とはかけ離れた形態が,どのように進化してきたのかという難問への挑戦である。
参考文献
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