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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻3号

2015年06月発行

文献概要

特集 進化と発生からみた生命科学

進化で医学を理解する─適応的防御機構についての考察

著者: 北沢太郎1 栗原裕基1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻代謝生理化学

ページ範囲:P.272 - P.276

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 進化という話題は,生物学では最も興味深い領域の一つであるにもかかわらず,少なくともわが国では医学とのかかわりは薄い分野と言える。高校時代にどれだけ生物学を学んだかにも多少左右されるであろうが,通常医学部で教育を受けた場合は,進化生物学にまつわる講義はほとんど行われないまま卒業を迎えることになるはずである。進化生物学も医学も生命科学という大きな括りでは一見して近そうに思えるが,実際的には,現在の医学教育では進化という学問分野の基礎的な素養を身に付ける機会はほぼ皆無である。しかし,本稿では医学に進化生物学の適応論的視点を取り入れた進化医学という学問分野を紹介することで,将来の医学教育,研究,臨床の方向性について新たな可能性を提示できればと考えている。

参考文献

1)Nesse RM, Williams GC:Why We Get Sick:The New Science of Darwinian Medicine, 1st ed. Times Books, New York, 1994
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4)Sadler TW, Langman J:Langman’s Medical Embryology. Lippincott Williams&Wilkins, Philadelphia, 2004
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9)Johns T:With Bitter Herbs They Shall Eat It:Chemical Ecology and the Origins of Human Diet and Medicine. University of Arizona Press, Tucson, 1990
10)Kinghorn AD, Society for Economic Botany (U.S.):Toxic Plants:[Proceedings of the 18th Annual Meeting of the Society for Economic Botany, Symposium on Toxic Plants, June 11-15, 1977, the University of Miami, Coral Gables, Florida]. Columbia University Press, New York, 1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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