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連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル-3
マーモセットによる新たな行動実験
著者: 中村克樹1
所属機関: 1京都大学霊長類研究所高次脳機能分野
ページ範囲:P.277 - P.281
文献購入ページに移動 これまでは,マウスやラットなどの齧歯類が,実験心理学の豊富な行動データおよびその繁殖力に基づく系統化と遺伝学的解析の発展により,生命科学や医科学の研究に貢献してきた。しかしながら,病原体に対する宿主反応性や免疫系の特性,更には中枢神経系の構造や機能は,ヒトと齧歯類では大きく異なっている。そのため,齧歯類における研究成果を直接ヒトへ外挿するのは困難である。実際に薬剤などのスクリーニングにおいて,マウスやラットは最適の実験動物ではない。高次脳機能の研究や社会行動の研究,更に精神疾患の研究では,遺伝的にヒトに近縁であり,中枢神経系の構造や機能も類似している霊長類を対象とした研究が強く求められている。本稿では,実験動物として近年特に注目を集めている小型霊長類であるコモンマーモセットを紹介し,コモンマーモセットで可能な研究を考えてみたい。
参考文献
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