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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻4号

2015年08月発行

文献概要

特集 新興・再興感染症と感染症対策 A.ウイルス

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

著者: 森川茂1

所属機関: 1国立感染症研究所獣医科学部

ページ範囲:P.287 - P.291

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 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome;SFTS)は,2009年に中国の河南省や湖北省などで原因不明の急性感染症として初めて流行が確認された新興ウイルス感染症である1)。SFTSは,高熱,消化器症状,血小板減少,リンパ球減少などの特徴的な症状を呈する(表1)。流行当初は,臨床症状などから顆粒球アナプラズマ症が疑われたが,ほとんどの患者でアナプラズマ感染が否定された。多くの症例でC反応性タンパク質(C-reactive protein;CRP)が上昇しないことからウイルス感染症が疑われ,2011年に中国予防医学中心のLi Dexin教授の研究チームによりブニヤウイルス科フレボウイルス属の新興ウイルスが同定され,SFTSウイルスと命名された1)。SFTSはマダニ媒介性の感染症である。その後,わが国や韓国でもSFTS患者が確認されている2-4)。わが国では「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)で四類感染症に指定されている。国内では西日本に集中して患者が発生し,これまでに100名以上の患者が確認されていて,その致死率は約30%と中国でのSFTS患者の致死率と比較して高い。これは,これまでのSFTSの報告症例が重症例を中心とした症例であることを示している。今後,軽症例も幅広く診断されることにより,わが国におけるSFTSの疫学をより詳細に明らかにしていく必要がある。SFTS患者には,マダニ刺咬の既往やマダニの刺し口が確認されない症例もあることから,その有無にかかわらず,臨床的にSFTSが疑われる患者には積極的に確定検査を行う必要がある。現在,国立感染症研究所ウイルス第一部および全国の地方衛生研究所において,RT-PCR法(reverse transcription polymerase chain reaction)によるSFTSウイルス遺伝子検査を実施する体制が整備されている。血清診断は国立感染症研究所で実施可能である。

参考文献

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5)国立感染症研究所HP:SFTS.感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要.http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html(accessed:Apr. 28, 2015)
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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