icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻4号

2015年08月発行

文献概要

特集 新興・再興感染症と感染症対策 A.ウイルス

インフルエンザ─動物からヒトへ:新型ウイルス出現への備え

著者: 迫田義博123

所属機関: 1北海道大学大学院獣医学研究科微生物学教室 2北海道大学国際連携研究教育局(GI-CoRE) 3国際獣疫事務局(OIE)高病原性鳥インフルエンザレファレンスラボラトリー

ページ範囲:P.301 - P.304

文献購入ページに移動
 インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によって起こるヒトと動物の呼吸器感染症である。ヒトにはA型,B型およびC型インフルエンザウイルスが,動物にはA型インフルエンザウイルスが主に感染する。インフルエンザウイルスの大きさは直径80-120nmで,電子顕微鏡を用いて観察することができる(図1)。A型インフルエンザウイルスは,その表面糖蛋白質のヘマグルチニン(hemagglutinin;HA)およびノイラミニダーゼ(neuraminidase;NA)の抗原性に基づき,H1からH16およびN1からN9の亜型に分類される1)。A型インフルエンザウイルスの自然宿主は野生のカモ類で,前述のすべての亜型のウイルスが分離される(図2)。ヒトでは現在,H1N1およびH3N2亜型のウイルスが流行している(図3)。
 インフルエンザは,急性の呼吸器疾病しか引き起こさず,感染後1週間程度で急速に症状は改善する。現在は迅速診断法や治療薬の普及に伴い,治療は容易である。しかし,ヒトの世界に新しい亜型のインフルエンザウイルスが定着すると,世界的流行(パンデミック)を引き起こすことになり,社会生活に影響を及ぼす。本稿ではヒトと動物のインフルエンザの概要を紹介すると共に,鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染例や新型インフルエンザウイルス出現の備えについて紹介したい。

参考文献

1)McCauley JW, Hongo S, Kaverin NV et al:Virus taxonomy. In:King AMQ et al. (eds), 9th Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses. pp749-761, Academic Press, MA, 2012
2)Swayne DE, Suárez DL, Sims LD:Influenza. In:Swayne DE(ed), Diseases of Poultry, pp181-218. Wiley-Blackwell, IA, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら