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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻4号

2015年08月発行

特集 新興・再興感染症と感染症対策

B.リケッチア

日本紅斑熱─日本紅斑熱の現況とダニ媒介性疾患の初期対応

著者: 馬原文彦1

所属機関: 1馬原医院

ページ範囲:P.313 - P.317

文献概要

 日本紅斑熱は,紅斑熱に属する病原リケッチアを保有するマダニ類により媒介される急性熱性発疹性感染症である。臨床的に本症は高熱,紅斑,マダニによる刺し口を3徴候とし,つつが虫病に類似するが,つつが虫病よりは重症化しやすく,早期診断と適切な抗菌薬の選択が必要である。熱性疾患に一般的に使用される抗菌薬のほとんどが無効であり,テトラサイクリン(tetracycline;TC)系抗菌薬が第一選択薬,重症例ではキノロン系抗菌薬との併用療法が推奨されている。治療が遅れると重症化することもあり,マダニ刺咬が確認できない場合でも原因不明の高熱と発疹がある場合には常に念頭に置くべき疾患である。
 近年,日本紅斑熱は発生数の増加,発生地域の拡大,重症例や死亡例の報告など注意が喚起されていた。2013年春には,重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome;SFTS)の症例がわが国にも存在することが報告された。新種のウイルスによる感染症で致死率も高く,マダニにより媒介されることからマダニ刺咬に対する更なる注意が喚起された。本稿ではマダニ媒介性リケッチア感染症である日本紅斑熱について概説し,ダニ媒介性疾患全体を捉えた臨床的初期対応について言及する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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