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特集 新興・再興感染症と感染症対策 F.感染症対策
感染症流行のリアルタイム予測
著者: 西浦博1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科国際社会医学講座
ページ範囲:P.364 - P.367
文献購入ページに移動予測モデルには様々なものが挙げられるが,主に,感染症伝播のメカニズムを数学的に記述した数理モデル(機構的モデル)と,過去の流行パターンなどを利用して統計テクニックを駆使して定量的予測を施す統計モデルの二つに区別される。先端的研究の多くでは両者のいずれか一方に明確に分類できないものも多い。リアルタイム予測に関して言えば,感染症の予測よりも実績的に秀でているアプリケーション課題として天気予報が挙げられるが,それは統計学的な定量性に優れた機構モデルが統計モデルのように扱われて実施されている。また,ベイズ統計の技術の一部であるカルマンフィルターを利用する点では,既に社会実装されている天気予報と感染症の予測モデルは基本的な仕組みは同じである3)。最近では,天気予報に限らず,粒子フィルタリングなどベイズ統計の技術が飛躍的に発展し,新興・再興感染症のリアルタイム予測が実装されることが珍しくなくなった。技術革新の一端を紹介する。
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