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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻4号

2015年08月発行

文献概要

連載講座 生命科学を拓く新しい実験動物モデル-5

ゼブラフィッシュを用いたin vivo細胞生物学研究─血管研究を例に

著者: 福原茂朋1 若山勇紀1 柏田建1 安藤康史1 望月直樹1

所属機関: 1国立循環器病研究センター研究所細胞生物学部

ページ範囲:P.375 - P.381

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 全身に張り巡らされた血管は,組織や細胞に酸素や栄養を供給し,二酸化炭素や老廃物を回収する生命維持に必須のライフラインである。血管の主な構成細胞である内皮細胞は,胎生期に中胚葉細胞から発生し,脈管形成や血管新生といったプロセスを経て全身に血管ネットワークを形成する。これまで,血管形成過程における内皮細胞の機能やそれら機能を制御するシグナル伝達系は,主に二次元環境下の培養内皮細胞を用いた,細胞生物学および生化学的な実験により解析されてきた。しかし,血管形成は生体という三次元環境下で起こる現象であり,図1に示すように,培養皿上の内皮細胞と生体の血管形成過程の内皮細胞は全く異なった形態,挙動を示す。したがって,血管形成における内皮細胞の機能やそれら機能を制御するシグナル伝達系を明らかにするには,生体内の内皮細胞を解析,研究する必要がある。これを可能にするのは,下村脩博士による緑色蛍光タンパク質(green fluorescence protein;GFP)の発見を機に,飛躍的に進歩した蛍光イメージング技術である。蛍光イメージング技術の発展により,これまで生化学的にしか知ることのできなかった分子や細胞の機能情報を,生細胞で解析することが可能になってきた。われわれは,この蛍光イメージング技術をゼブラフィッシュに応用し,個体内の細胞を生きたまま観察・解析する“in vivo細胞生物学研究”を実践することで,内皮細胞が血管網を構築するメカニズムを研究している。本稿では,ゼブラフィッシュを用いたin vivo細胞生物学研究について,われわれの血管研究を例に紹介する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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