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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

文献概要

増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 1.セカンドメッセンジャー

イノシトールリン脂質シグナル

著者: 松岡里実1 上田昌宏1

所属機関: 1理化学研究所生命システム研究センター細胞シグナル動態研究グループ

ページ範囲:P.392 - P.393

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 イノシトールリン脂質は,細胞増殖,運動,免疫応答などにおける情報伝達や,受容体の取り込み,シナプス小胞による神経伝達,オートファジーなどの小胞輸送において本質的な役割を担うシグナル分子である。イノシトール環のリン酸化状態の異なる8種類が存在し,総称してホスホイノシタイド(phosphoinositide;PI)と呼ばれる(図)1)。すべてのPIは小胞体の膜上で生成されるホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol;PtdIns)から生成される。小胞やタンパク質を介して細胞内膜系の各所に輸送されると,その膜系に特異的なリン酸化・脱リン酸化酵素によって各種のPIが産生される。例えば,形質膜ではPI4KAによってリン酸化されてPtdIns(4)Pが生じ,更にPIP5KによりPtdIns(4,5)P2が生成する。ゴルジ体の膜上ではPI4KBによってPtdIns(4)Pが生じるが,PIP5KがなくPtdIns(4,5)P2は存在しない。細胞内膜系ごとに特徴的なPIの分布をシグナルとして様々なタンパク質がリクルートされ細胞機能の発現にかかわる。

参考文献

. 93:1019-1137, 2013
. 9:99-111, 2008
. 119:1071-1079, 2006
. 314:1454-1457, 2006
. 8:e70861, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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