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増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 2.Gタンパク質
Ras/Rap
著者: 小松直貴1 松田道行12
所属機関: 1京都大学大学院生命科学研究科生体制御学 2京都大学大学院医学研究科病態生物医学
ページ範囲:P.402 - P.403
文献購入ページに移動Rasファミリー低分子量Gタンパク質(以下Rasと略す)はGTP結合時にシグナルをON,GDP結合時にOFFにする分子スイッチとして機能し,そのGTP/GDP結合状態はGEF(Guanine nucleotide exchange factor)およびGAP(GTPase-activating protein)により制御されている。Ras活性の時空間パターンは,このGEF,GAPの局在および活性化の時空間パターンにより制御されている(図A)。
Rasは初め細胞質タンパク質として合成された後,ファルネシル基転移酵素によりC末端CAAX配列(C:システイン,A:脂肪族アミノ酸,X:任意のアミノ酸)のシステインにファルネシル基が付加される。更なる翻訳後修飾を受けた後,K-Ras4BはPDE6δにより細胞質で安定化されながら形質膜の非ラフト領域へ移行する。H,N-RasおよびK-Ras4AはC末端に更にパルミトイル化を受け,形質膜のラフト領域および細胞内膜へ移行する(図B)。
Rasはそれぞれ複数のエフェクター分子と結合し,一部は重複している。Rasサブファミリーのエフェクター中でよく研究されているのはRaf,PI3KおよびRalGDSである。
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