文献詳細
増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 2.Gタンパク質
文献概要
RabやArf(ADPリボシル化因子)ファミリーは,Rasスーパーファミリーに属する低分子量 GTPaseである。哺乳類ではRabファミリーは60種類以上,Arfファミリーは約30種類(Arf-like;Arl,Sar1を含む)から成り,細胞内のメンブレントラフィックの調節にとって必須のタンパク質群である1,2)。Rabは主に輸送小胞の運搬や膜融合の過程に,Arfは主にコートタンパク質の集合による輸送小胞の形成過程に寄与する。RabやArfは,GDP/GTP交換因子(GEF)の作用によって不活性なGDP結合型から活性を有するGTP結合型へと変換される(図)。一方,結合しているGTPは,GTPase活性化タンパク質(GAP)によって加水分解が促進され,不活性なGDP結合型に戻って再利用される。RabやArfは,GTPが結合するとコンホメーション変化を引き起こし,特定のエフェクタータンパク質との結合が可能になる(図)。したがって,RabやArfは,GDP結合型とGTP結合型の間をサイクルすることによって,メンブレントラフィック調節の分子スイッチとして機能する。
参考文献
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