文献詳細
増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 2.Gタンパク質
文献概要
ケモカインは,特定の白血球を炎症局所に動員する因子の探索の中で,30年ほど前に初めてIL-8,MCP-1/CCL2が同定された。ケモカインは8-14kDa,100個ほどのアミノ酸から成る小さなタンパク質で,N末に保存されたシステイン残基のパターンによりCC,CXC,C,CX3Cの四つのファミリーに分類される。ケモカインの受容体はおよそ20種類に及び,GPCRファミリーの一つ,ロドプシン様受容体ファミリーの中でも最も大きなファミリーに位置付けられる。CXCR7,DARC,D6のような,ケモカインを結合するがGタンパク質と共役しない非定型ケモカイン受容体も,ケモカイン濃度勾配の形成など役割を担う。ケモカインは約40種類存在し,ケモカイン受容体との結合関係は互いに重複性を持つのが特徴である。
ケモカインは細胞遊走を介して発生,自然免疫,獲得免疫を含む免疫応答全般,がんの増生,転移,炎症性疾患などに関与し,その働きは多岐にわたる1)。また,細胞遊走にかかわるのみならず,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)の共受容体として働くなど,微生物との接点としても重要である。
ケモカインは細胞遊走を介して発生,自然免疫,獲得免疫を含む免疫応答全般,がんの増生,転移,炎症性疾患などに関与し,その働きは多岐にわたる1)。また,細胞遊走にかかわるのみならず,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)の共受容体として働くなど,微生物との接点としても重要である。
参考文献
. 66:1-79, 2014
. 192:4361-4369, 2014
. 27:11-20, 2015
. 7:477-487, 2015
5)寺島裕也,遠田悦子,松島綱治:ケモカイン受容体シグナル制御分子フロントへのパラダイムシフト.清木元治総編集:次世代がん戦略研究Update がん基盤生物学─革新的シーズ育成に向けて,pp130-136.南山堂,東京,2013
掲載誌情報