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増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 3.キナーゼ
プロテインホスファターゼ
著者: 小谷武徳1 村田陽二1 的崎尚1
所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科生化学・分子生物学講座シグナル統合学分野
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動現在,ヒトでは約140種類のプロテインホスファターゼ遺伝子が存在するとされており,基質となるリン酸化アミノ酸残基の特異性からセリン/スレオニンホスファターゼとチロシンホスファターゼの2群に大別されている。ほとんどのセリン/スレオニンホスファターゼは多量体で存在し,調節サブユニットが触媒サブユニットと結合することによってホスファターゼの機能が制御されているのに対し,チロシンホスファターゼは単量体であるという特徴を持つ。また,この2群のプロテインホスファターゼは構造上の違いや酵素学的特性により更に細かく分類される。一方で,一つのホスファターゼドメインによりリン酸化セリン/スレオニンおよびチロシン残基を脱リン酸化することのできる二重特異性ホスファターゼや,既知のファミリーに収まらない新たなアティピカルホスファターゼの存在も明らかとされている(図)。
近年の遺伝子改変マウスの利用や疾患遺伝子の解析から,予想もされなかったプロテインホスファターゼの新たな生理機能や疾患とのかかわりが明らかにされつつあり,プロテインホスファターゼやその関連分子は創薬・治療法開発の対象としても現在注目されている。
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