文献詳細
文献概要
増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 4.その他
メカノセンサーシグナル
著者: 牧功一郎1 安達泰治1
所属機関: 1京都大学再生医科学研究所バイオメカニクス研究領域
ページ範囲:P.450 - P.451
文献購入ページに移動メカノセンサー分子は,細胞内でメカノセンサーシグナルが活性化される領域により,①細胞間張力に応じて接着結合をリモデリングする細胞間接着メカノセンサー(αカテニンなど),②細胞-細胞外基質間の張力に応じて接着斑をリモデリングする足場接着メカノセンサー(タリンなど),③細胞膜張力に応じてイオン流入を制御する細胞膜メカノセンサー(イオンチャネルなど),④細胞内張力・圧縮力に応じ自ら重合・解体する細胞骨格メカノセンサー(アクチンフィラメントなど),の主な4種類に分類できる(図)。
これらのメカノセンサー分子は,すべて力に対して分子レベルで構造を変化させ,生化学シグナルの結合部位を露出・遮蔽,あるいは,シグナル通過部位を拡大・縮小することで,メカノセンサーシグナル経路を直接制御する。例えば,細胞間の接着結合においてメカノセンサー分子として機能するαカテニンは,アクチン細胞骨格に由来した細胞間張力のもとで,閉じた自己抑制構造(鍋と蓋の関係)を開いた構造に変化させ,最終的に,生化学シグナルであるビンキュリンの結合部位を露出する2)。
これまで,メカノセンサー分子の活性を評価するために,分子を機能ドメインごと(鍋と蓋)に切り分けてシグナル分子結合の有無を調べる生化学的分子実験などが行われてきた。本稿では,このような生化学的実験にとどまらず,直接メカノセンサー分子を操作する技術を含む最新の研究手法を概説する。
参考文献
掲載誌情報