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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

文献概要

増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 4.その他

p53

著者: 田中信之1

所属機関: 1日本医科大学先端医学研究所遺伝子制御部門

ページ範囲:P.456 - P.457

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 p53は多くのがん細胞で遺伝子変異が検出されている代表的ながん抑制遺伝子であり,p53遺伝子欠損マウスには極めて高い頻度で腫瘍発生がみられる。更に,若年性に高頻度にがんを発症するLi-Fraumeni症候群の責任遺伝子である。p53は通常はユビキチンリガーゼMDM2と結合してユビキチン化され,プロテアソームで分解されている。しかし,DNA損傷や様々なストレスによってリン酸化,アセチル化,メチル化などの修飾を受け,MDM2との結合阻害と転写活性化能の増強によって,核内に集積して様々な遺伝子の発現を誘導する。p53は細胞周期の停止,アポトーシスの誘導,DNA修復,エネルギー代謝を初めとする様々な代謝経路の改変などを行っている。このことから,p53はDNA損傷時に働いて,細胞周期を止めてDNA修復を促すことでDNAの変異を抑制する,更には修復しきれない細胞をアポトーシスにより排除することで,遺伝子に変異が入った細胞が残ることを防いでおり,このことからゲノムの守護神と呼ばれている。更に,がん遺伝子が発現した細胞では異常なDNA合成が起こり,このDNA複製ストレスがp53を活性化してその細胞を排除することで,がん化を抑制している。このほかにも,p53は細胞内代謝の調節などの様々な作用でがん化を抑制していると考えられている1)

参考文献

. 14:359-370, 2014
. 149:1269-1283, 2012
. 19:1055-1068, 2014
. 4:2660, 2013
. 32:4325-4330, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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