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増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 4.その他
Toll-like receptor(TLR)
著者: 中塚賀也12 竹内理1
所属機関: 1京都大学ウイルス研究所生体応答学研究部門感染防御研究分野 2京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
ページ範囲:P.458 - P.459
文献購入ページに移動TLRは細胞膜1回貫通型の膜タンパク質であり,細胞膜や細胞内のエンドゾームに発現する。現在ヒトでは10種類,マウスでは13種類のTLRファミリーが同定されている。このうち,核酸をリガンドとして認識するTLR3,TLR7,TLR8,TLR9,TLR13はエンドゾームに局在することが知られている。
TLRにリガンドが結合すると,TLRに共通する細胞内ドメインであるToll/IL-1 receptorドメイン(TIRドメイン)を介して細胞内シグナル伝達経路が活性化する。TLRのシグナル伝達の経路は,TIRドメインにリクルートされるアダプター分子の種類によってMyD88依存性の経路とTRIF依存性の経路に分けることができる。最終的にはNF-κBやAP-1,IRF3/7などの転写因子の活性化をもたらし,IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカイン,1型インターフェロンの産生を介して炎症反応が惹起される1)。
TLRは抗原提示細胞に多く発現し,病原体に対する免疫応答の初期に重要な役割を果たしている。
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