文献詳細
増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅰ.分子からみたシグナル操作法 4.その他
核内受容体
著者: 堀江公仁子1 井上聡2
所属機関: 1埼玉医科大学ゲノム医学研究センター遺伝子情報制御部門 2東京大学医学部附属病院22世紀医療センター抗加齢医学講座
ページ範囲:P.460 - P.461
文献概要
核内受容体のうち,ステロイドホルモン受容体サブファミリーはホモ二量体を形成し,多くの受容体はレチノイドX受容体RXR(retinoid X receptor)とヘテロ二量体を形成し,一部は一量体のまま,DNA上の各受容体特異的な応答配列に結合する。ステロイドホルモン受容体のうち,エストロゲン受容体は独自の回文型応答配列に,それ以外の受容体については共通の回文型応答配列に結合して転写活性化を起こす。RXRとヘテロ二量体を形成する受容体サブファミリーには,レチノイン酸受容体(retinoic acid receptor;RAR),甲状腺ホルモン受容体,ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator-activated receptor;PPAR)やビタミンD受容体(vitamin D receptor;VDR),肝X受容体(liver X receptor;LXR),ファルネソイド受容体(farnesoid X receptor;FXR)などがあり,ハーフサイトが同方向に並ぶ直列型応答配列に結合する。内因性リガンドが明らかでない核内受容体はオーファン受容体と呼ばれる。
核内受容体は性分化や発生・再生,代謝生理的作用のみならず,癌や内分泌・代謝疾患などの病態においても重要な病理的作用をもたらしており,標的遺伝子と共に疾患における創薬の標的分子になっている。
参考文献
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