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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

増大特集 細胞シグナル操作法

Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 1.遺伝子・ゲノム

スプライシング

著者: 大江賢治1 飯田慶2 萩原正敏3

所属機関: 1京都大学大学院学際融合教育研究推進センター健康長寿社会の総合医療開発ユニット(LIMS) 2京都大学大学院医学研究科医学研究支援センター 3京都大学大学院医学研究科形態形成機構学

ページ範囲:P.470 - P.471

文献概要

 スプライシングでは,転写されたRNAにU snRNP(ウリジンに富む核内分子RNAの蛋白質複合体)が順次結合することにより巨大な複合体(スプライソソーム)が形成され,イントロンが除去されエクソン同士が連結される基本的なスプライシング過程が行われる。このスプライソソームを制御するRNA結合蛋白質因子として,SR(セリン・アルギニンに富むドメインを持つ)蛋白質やhnRNP(ヘテロ核リボヌクレオチド蛋白質)などがあり,ほかに様々な蛋白質が次々に明らかになっている。また,スプライシングを操作して変化させるスプライシング操作化合物も,スクリーニング法の進化と共に効果の強いものが見つかってきている。
 一方,化合物で特定のエクソンのスプライシングだけを特異的に操作することの難易度は高い。スプライシング反応は様々な制御配列によって複雑な制御を受けており,また,制御蛋白質が細胞や組織によって異なるためである。この難題を打開するために,ハイスループットシークエンサーなどを用いて様々な種類の細胞において化合物が作用するエクソンを網羅的に同定し,化合物ごとのスプライシング操作ルールを解明する研究が必要不可欠である。化合物によるスプライシング操作ルールの解明は,細胞におけるスプライシング制御の解明に寄与するだけでなく,スプライシング異常に起因する疾患の治療薬の開発へとつなげることができる。

参考文献

. 5:1495-1517, 2010
. 279:24246-24254, 2004
. 2:308, 2011
. 10:914-924, 2015
. 112:2764-2769, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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