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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

文献概要

増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 1.遺伝子・ゲノム

エピジェネティック調節(ヒストン修飾)

著者: 田中宏1 坂元顕久1 中尾光善1

所属機関: 1熊本大学発生医学研究所細胞医学分野

ページ範囲:P.476 - P.477

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 ヒストンは真核生物のクロマチンを構成する主要な因子である。ヒストンには主にH2A,H2B,H3,H4のコアヒストンおよびリンカーヒストンが存在し,コアヒストンはそれぞれ二分子から成る八量体を形成する。真核生物のゲノムDNAはこのヒストン八量体におよそ1.7回転,約146塩基にわたり巻き付きヌクレオソームを形成する。ヌクレオソーム同士は更に折り重なりクロマチンとなり,ゲノムの高次構造を形作る。
 ヌクレオソーム内のヒストンはN末端がヌクレオソームから突出した構造をとっており,様々な翻訳後修飾を受ける。修飾を受けたヒストンは,直接あるいは他の分子をリクルートすることによりゲノム機能を調節する。例えば,ヒストンH3のN末端から4番目のリジン(H3K4)のメチル化は遺伝子の転写を活性化し,反対に9番目のリジン(H3K9)のメチル化は転写を抑制する。また,10番目のセリン(H3S10)のリン酸化は細胞分裂時のクロマチンに蓄積する。このようにヒストン修飾は,修飾されるヒストン残基あるいは修飾基の種類に従い固有のゲノム機能を発揮する。
 ヒストン修飾は可逆的であり,ヒストンに修飾基を書き込む修飾酵素(writer),修飾基を外す脱修飾酵素(eraser),および修飾されたヒストンを特異的に読み取るヒストンリーダー(reader)により機能制御される1)(図)。また,ヒストン修飾は修飾に用いられる基質や補因子の供給量に依存するため,細胞の栄養あるいは代謝環境によっても変動する2)

参考文献

. 128:693-705, 2007
. 502:489-498, 2013
. 468:1067-1073, 2010
. 75:1445-1456, 2015
. 3:758, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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