文献詳細
増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 1.遺伝子・ゲノム
文献概要
マイクロRNAは20塩基前後の小分子RNAの一種である。ウイルスから植物,動物まで幅広く存在しており,ヒトでは約2,000種類同定されている。様々な疾患に関与しており,診断や治療の標的としても注目されている。
マイクロRNAは,生成後に細胞質にあるArgonaute(Ago)タンパク質を中心としたRNA-induced silencing complex(RISC)へと取り込まれ,標的mRNAの3'非翻訳領域(untranslated region;UTR)へと結合する。この際マイクロRNAは,シード配列と呼ばれる5'側の7-8塩基と相補なmRNAに結合し(図),mRNAを直接分解したり翻訳を抑制する。このため,mRNAレベルよりもタンパク質レベルでの発現変動を評価したほうが標的mRNAを見逃すリスクを低減できる。また,一つのマイクロRNAが100近いmRNAを標的とすることもあり,標的の同定には多角的なアプローチが必要である。
一般にマイクロRNAの機能はfine-tuningと称され,標的の発現量を何倍も変えるほどの効果はない。このため,その機能評価は慎重に行う必要があり,効果を増強するため,マイクロRNA結合部位を複数挿入してレポーターアッセイを行うこともある。一方,マイクロRNAと相補なRNAを合成して細胞内で結合させ,その機能を阻害したり動態を観察することもできる。
マイクロRNAは,生成後に細胞質にあるArgonaute(Ago)タンパク質を中心としたRNA-induced silencing complex(RISC)へと取り込まれ,標的mRNAの3'非翻訳領域(untranslated region;UTR)へと結合する。この際マイクロRNAは,シード配列と呼ばれる5'側の7-8塩基と相補なmRNAに結合し(図),mRNAを直接分解したり翻訳を抑制する。このため,mRNAレベルよりもタンパク質レベルでの発現変動を評価したほうが標的mRNAを見逃すリスクを低減できる。また,一つのマイクロRNAが100近いmRNAを標的とすることもあり,標的の同定には多角的なアプローチが必要である。
一般にマイクロRNAの機能はfine-tuningと称され,標的の発現量を何倍も変えるほどの効果はない。このため,その機能評価は慎重に行う必要があり,効果を増強するため,マイクロRNA結合部位を複数挿入してレポーターアッセイを行うこともある。一方,マイクロRNAと相補なRNAを合成して細胞内で結合させ,その機能を阻害したり動態を観察することもできる。
参考文献
. 455:58-63, 2008
. 460:479-486, 2009
. 153:654-665, 2013
. 521:533-536, 2015
. 113:322-326, 2013
掲載誌情報