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増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 2.タンパク質の一生
エクソサイトーシス
著者: 中村岳史1 七尾友久1
所属機関: 1東京理科大学生命医科学研究所生命情報科学研究部門
ページ範囲:P.484 - P.485
文献購入ページに移動最も詳細に分子機構がわかっているのはシナプス小胞のエクソサイトーシスであり,ドッキング,プライミング,膜融合の三つの過程から成る1)。ドッキングは小胞が細胞膜につなぎとめられるステップで,Munc18-1などのSM蛋白質,RIM,Munc13がここで働く。プライミングは小胞が膜融合する能力を獲得するステップで電気生理学的に確認できる。プライミング因子としてCAPSやcomplexinがある。膜と膜を融合させるのがSNARE複合体(soluble N-ethylmaleimide-sensitive factor attachment protein receptor complex,小胞上のv-SNAREと細胞膜にあるt-SNAREの複合体)である。シナプス小胞のエクソサイトーシスでは,v-SNAREとしてVAMP2,t-SNAREとしてシンタキシン1とSNAP25が働く。この三分子それぞれが持つSNAREモチーフ(約60アミノ酸のコイルドコイル構造)が会合して複合体を形成する(図)。VAMP2とシンタキシン1は一つ,SNAP25は二つのSNAREモチーフを持ち,合わせて四つのSNAREモチーフが相互作用し捩れて,その力で小胞膜とターゲット膜を融合させる。
ドッキングの前のステップとして繋留を考えて,そこに焦点を当てた研究も多い。繋留の主役はエクソシスト複合体などの繋留因子であり,RabなどのG蛋白質と結合して働く。
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