文献詳細
増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 2.タンパク質の一生
文献概要
小胞体ストレスとは,細胞が種々の刺激を受けることで小胞体内に折りたたみ異常タンパク質が蓄積していく現象のことである。小胞体ストレスは,アルツハイマー病を初めとした神経変性疾患や糖尿病,慢性炎症疾患,がんなど,多岐にわたる疾病の一因となることが報告され,小胞体ストレスの制御が治療ターゲットとして注目されている。細胞が小胞体ストレス状態を感知してそれに対処するために発信するシグナル応答は,小胞体ストレス応答あるいはunfolded protein response(UPR)と呼ばれ,積極的に小胞体内から異常タンパク質を排除しようとする。UPRの発動によってもストレス状態を回避できない場合,細胞は最終的にアポトーシスを引き起こし,死に至る。
UPRを発動するのは小胞体ストレスセンサーと呼ばれるIRE1,PERK,ATF6という3種類の小胞体膜貫通型タンパク質である。これら三つのセンサーは小胞体内腔の状態を常にモニターしており,小胞体ストレス状態になると活性化し,続いてそれぞれの下流分子を活性化する。IRE1,PERK,ATF6はユビキタスに発現しているが,組織特異的に発現する小胞体ストレスセンサーとしてOASISファミリーがある。近年,小胞体ストレス応答は単に異常タンパク質の排除システムとして機能するだけでなく,細胞や組織の分化・成熟にも寄与していることが明らかになってきた。
UPRを発動するのは小胞体ストレスセンサーと呼ばれるIRE1,PERK,ATF6という3種類の小胞体膜貫通型タンパク質である。これら三つのセンサーは小胞体内腔の状態を常にモニターしており,小胞体ストレス状態になると活性化し,続いてそれぞれの下流分子を活性化する。IRE1,PERK,ATF6はユビキタスに発現しているが,組織特異的に発現する小胞体ストレスセンサーとしてOASISファミリーがある。近年,小胞体ストレス応答は単に異常タンパク質の排除システムとして機能するだけでなく,細胞や組織の分化・成熟にも寄与していることが明らかになってきた。
参考文献
. 307:935-939, 2005
. 48:899-907, 1987
. 10:98-102, 2004
. 23:169-179, 2004
. 149:507-518, 2011
掲載誌情報