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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

文献概要

増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 2.タンパク質の一生

ユビキチン-プロテアソーム系

著者: 岩井一宏1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科細胞機能制御学

ページ範囲:P.494 - P.495

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 ユビキチン-プロテアソーム系はエネルギー依存性タンパク質分解系であり,ユビキチン修飾系とプロテアソームの二つから構成されている。ユビキチン修飾系は分解されるべきタンパク質にユビキチンを結合させる。プロテアソームはユビキチンを認識し,結合したタンパク質を分解し,ユビキチンをタンパク質から除去する。発見の経緯もあり,ユビキチン修飾を受けたタンパク質は分解されると考えられてきた。しかし近年,細胞内には多様なユビキチンの修飾様式が存在しており,ユビキチン修飾されたタンパク質は必ずしも分解に導かれるのではないことが明確になるなど,ユビキチン-プロテアソーム系の研究は新時代を迎えている。
 ユビキチンは76アミノ酸から成る小球状のタンパク質性の翻訳後修飾因子である。ユビキチン修飾系はE1,E2,E3の3種の酵素群の働きでE3,ユビキチンリガーゼが選択的に認識する標的タンパク質にユビキチンを結合させる。多くの場合は,タンパク質に結合したユビキチンに次々とユビキチンが結合してポリユビキチン鎖が形成される。現在ではユビキチン間に8種類の結合様式があり(ユビキチンの7個のリジン残基とN末端のメチオニンを介する),ユビキチンの修飾様式によってタンパク質の制御様式が異なることが知られている。リジン(K)48,K11を介して形成されるユビキチン鎖がプロテアソームの識別シグナルとして機能することが明らかになっているが,K63鎖やN末のメチオニン1を介した直鎖状ユビキチン鎖はタンパク質を分解に導かず,シグナル伝達などに関与する(図)1)。また,近年,翻訳後修飾因子であるユビキチン自身がリン酸化,アセチル化されることも知られている。
 ユビキチン化タンパク質を分解する26Sプロテアソームはタンパク質分解酵素活性を有する20Sプロテアソームと19S調節サブユニット(regulatory particle;RP)から構成される。19SRPはユビキチン化タンパク質を認識,アンフォールドし,タンパク質分解酵素の活性中心がある20Sプロテアソームの内腔に送り込む機能,分解されるべきタンパク質からユビキチンを切断する機能を有している1)

参考文献

. 81:203-229, 2012
. 34:1322-1335, 2014
. 47:797-809, 2012
. 287:23626-23634, 2012
. 58:660-676, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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