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増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 2.タンパク質の一生
ライソゾーム分解系
著者: 小池正人1
所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科神経機能構造学
ページ範囲:P.496 - P.497
文献購入ページに移動 ライソゾーム(リソソーム)は真核生物に共通の細胞内小器官で,pH 5.0-5.5の酸性環境下にあることが特徴である。ライソゾームは細胞内外の不要な物質,細胞内小器官をエンドサイトーシス,オートファジーなどを介して取り込み,内包された成分を加水分解する装置である(図)。そのため,ライソゾーム内には様々な各種加水分解酵素(プロテアーゼ,スルファターゼ,リパーゼ,ホスホリパーゼ,グルコシダーゼ,ヌクレアーゼ,ホスファターゼと総称される)が存在する。興味深いことは,タンパク質を分解するためのプロテアーゼだけでも20種類以上存在することである。このように,多数存在する理由の一つは組織細胞特異的な発現であるが,カテプシンB,D,Lなどのプロテアーゼは組織細胞を問わず存在している。これまでに,ほとんどのライソゾームプロテアーゼに関する遺伝子欠損マウスが作製・解析されたが,早期に死亡するのはカテプシンD欠損マウスのみであった。そのためカテプシンDはin vivo で必須な役割を持ち,その他のプロテアーゼは互いに機能を相補していることが推察される。カテプシンDは特に神経系で重要であり,ヒトにおいても神経性セロイドリポフスチン蓄積症の原因遺伝子の一つである1)。
参考文献
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