文献詳細
文献概要
増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 3.細胞の動態
細胞骨格(微小管系)
著者: 牧野司1 吉川雅英1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科生体構造学
ページ範囲:P.506 - P.507
文献購入ページに移動微小管が前述のように多様な働きができるのは,必要に応じてフィラメント構造を形成したり(重合),壊れたり(脱重合),という柔軟性を持っているからである。この重合・脱重合は,チューブリンに結合するヌクレオチド(GDPまたはGTP)状態に依存すると考えられている。すなわち,チューブリンがGTP結合型ではフィラメント構造が安定化し重合する方向に,加水分解が起こりGDP結合型になると脱重合する方向に反応が進む。また,様々な種類の微小管結合タンパク質(microtubule-associated proteins;MAPs)によっても重合・脱重合が制御されている。
微小管の機能の多様性は,チューブリンが持つ多数のアイソフォームの存在が関係している。まず,α,βそれぞれのサブユニットに対して複数の遺伝子(isotype)があり,更にアセチル化,脱チロシン化,ポリグルタミル化などの多様な翻訳後修飾を受ける。これらのisotypeと翻訳後修飾によって,微小管は細胞内で多様な働きを行うことができると考えられる。
参考文献
掲載誌情報