icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻5号

2015年10月発行

文献概要

増大特集 細胞シグナル操作法 Ⅱ.機能からみたシグナル操作法 3.細胞の動態

細胞接着(インテグリン)

著者: 岡本貴行1 島岡要1

所属機関: 1三重大学大学院医学系研究科分子病態学

ページ範囲:P.508 - P.509

文献購入ページに移動
 インテグリンは,1回細胞膜貫通蛋白質のαとβサブユニットから成るヘテロ二量体である。ヒトではαサブユニットは18種類,βサブユニットは8種類が知られ,その組み合わせにより24種類のインテグリンが同定されている。各インテグリンは,そのリガンド選択性によって特異的な細胞外マトリックス,蛋白質や他の細胞と直接結合する。
 インテグリンはダイナミックな構造変化を伴い活性化する(図1)1)。不活性化状態(bent form)ではαとβサブユニットの細胞内ドメインが互いに接合し,両サブユニットの脚部が折れ曲がったおじぎ型である。ケモカインなどの刺激がinside-outシグナルを開始し,talinとkindlinがインテグリンの細胞内ドメインにリクルートされ,細胞内ドメインを解離する。この解離が原動力となり脚部が伸展し,頭部が持ち上がりextended formを形成する。Ⅰドメインを有するαサブユニットでは,リガンドの結合が更なる構造変化を誘導して最終的にhigh affinityへと活性化する。
 他方,outside-inシグナルではリガンドの結合を起因として,インテグリンの構造変化とクラスタリングが誘導され,αとβサブユニットの細胞内ドメインが解離する。更にtalinやkindlinがリクルートされ,アクチン細胞骨格と連結し,細胞内骨格の再編成,細胞の遊走を制御するfocal adhesion kinase(FAK)のチロシンリン酸化とRhoファミリー低分子量G蛋白質の活性化,mitogen-activated proteinキナーゼの活性化などが起こる。このようにしてインテグリンの活性化は,細胞内に伝達されて細胞の生存,分化,運動性,遺伝子発現などに影響を与える。

参考文献

. 110:599-611, 2002
. 757:15-30, 2012
. 301:1720-1725, 2003
. 31:485-516, 2002
. 115:1572-1581, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら