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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻6号

2015年12月発行

特集 グリア研究の最先端

B.病態モデル研究

グリア性虚血耐性

著者: 小泉修一1 平山友里1

所属機関: 1山梨大学大学院総合研究部医学域薬理学講座

ページ範囲:P.566 - P.570

文献概要

 虚血耐性現象とは,先行して非侵襲的虚血を経験すると,その後の侵襲的虚血に対する抵抗性を獲得する現象であり,虚血に最も脆弱な臓器である脳でも認められる。これまで脳卒中による神経障害を抑制する薬物,血流再開後の神経細胞障害を抑制する薬物など,いわゆる脳保護薬1,000種類以上の開発が行われたが,十分な有効性を呈する薬物はほとんどない1)。一方で,非侵襲的虚血により誘導される虚血耐性は,非常に強い脳保護作用を呈す。したがって,この現象の分子メカニズム解明こそが,脳梗塞治療薬および治療法の開発の鍵になるとして,既に多くの精力的な研究がなされている。虚血耐性誘導に関連する複数の重要な分子,更に細胞内シグナルなどが報告されているが,そのほとんどは神経細胞に注目したものであった。近年,脳機能における神経細胞以外の細胞,“グリア細胞”の重要性が明らかにされつつあり,特に病態時における重要性が提唱されている。また,脳卒中などの病態時では,神経細胞の機能維持および保護には,神経細胞以上にグリア細胞の役割が重要であることが明らかとなってきている。しかし,前述した虚血耐性におけるグリア細胞の役割はほとんどわかっていない。本稿では,虚血耐性とグリア細胞に関する,最新の“グリア性虚血耐性”に関する知見を紹介しながら,脳卒中に対して強い脳を作るグリア細胞の仕組みについて解説する2)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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