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文献詳細

雑誌文献

生体の科学66巻6号

2015年12月発行

文献概要

特集 グリア研究の最先端 C.ヒト疾患グリア病

統合失調症・自閉スペクトラム症のゲノム解析からみたグリア病態

著者: 山本真江里1 王晨堯1 森大輔2 尾崎紀夫1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野 2名古屋大学脳とこころの研究センター

ページ範囲:P.579 - P.583

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 グリアは,脳内の細胞の70-80%を占め,オリゴデンドロサイト,アストロサイト,およびミクログリアの3種に分類される。グリアはこれまで神経細胞を支持する補助的な機能しか持たないと考えられてきたが,脳の神経回路形成や高次機能発現に重要な役割を有していることが明らかになってきた。オリゴデンドロサイトは髄鞘を形成し,神経伝達速度を調節する1)。アストロサイトは神経細胞を支持し,脳の物理的な構造維持にかかわる細胞である。加えてシナプス間の神経伝達物質の物質輸送に密接に関与し,シナプスを介した神経細胞の,シナプスの情報伝達にも関与することが明らかになっている2)。ミクログリアは,脳内の免疫担当細胞として認知されていたが,シナプス刈り込みにより神経回路の形成過程に関与する3)。グリアの機能変化および異常が精神疾患など種々な脳疾患に影響する可能性があり,なかでも統合失調症と自閉スペクトラム症(autistic spectrum disorder;ASD)は,モデル動物研究,死後脳研究や神経画像研究などによりグリアとの関連が示唆されている。したがって,グリア関連遺伝子とこれらの疾患との関連の検討が病態解明のため大きな役割を果たす。本稿では,統合失調症・ASDのゲノム解析結果を中心にグリア病態について解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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