文献詳細
話題
日本筋学会の設立と第1回学術集会開催の報告
著者: 武田伸一12
所属機関: 1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所 2日本筋学会事務局
ページ範囲:P.612 - P.613
文献概要
しかし,言わば基礎筋病学は,今日,新たな時代を迎えようとしています。確かに筋ジストロフィーについては,病態を解明する研究が進展し治療法開発まで到達したといえますが,人体で屈指の大きな臓器である骨格筋そのものの研究については,超高齢化社会を迎えた我が国が直面している筋萎縮の病態解明・予防法の開発を含め,これからの大きな課題です。隣接する整形外科の領域では,骨代謝学会を中心に運動器を対象にしたロコモティブ症候群に関する活発な研究活動が進められていますが,筋学側の受け手が十分ではありません。癌等の慢性疾患に伴うカケキシア及び代謝性疾患等を含む生活習慣病,加齢に伴うサルコペニアを含む筋萎縮の病態の解明・治療法の開発についても,筋研究者の参画が待ち望まれています。人の病気に関してだけではなく,理学部,農学部,工学部,薬学部でも改めて骨格筋の生物学及び骨格筋病学に関する興味は増しています。更に,病態の理解,バイオマーカーの確立,治療薬や医療機器の開発のためには,製薬企業を初めとする企業の皆さんの協力を欠かすことはできません。
掲載誌情報